実家の片付けで見つけた一枚の写真。日付を確認した瞬間、私は三十年前の記憶が嘘だったことを知った。

母が死んで二週間が経った頃、私は実家の片付けに戻った。

築三十年の家は、夏の終わりの空気をそのまま閉じ込めたように、ひっそりと待っていた。廊下の軋み方も、台所のガスコンロの横に置かれたままの調味料も、カレンダーが七月のまま止まっていることも、何一つ変わっていなかった。それがかえって辛かった。しばらく玄関で立ち尽くしていた。

両親の寝室から片付けを始めることにした。父は十年前に先立ったから、この部屋は長い間、母一人の場所だった。押入れを開けると、畳んだ着物の間から防虫剤の香りが鼻をついた。その瞬間、ある記憶が滲み出るように蘇った。

七歳か八歳の頃のことだ。近所の子と庭でかくれんぼをしていた。雨が降り出したのに気づかず遊んでいた私は、急に土砂降りになって慌てて家の中へ駆け込んだ。玄関を抜けて母の部屋まで走り、そのまま押入れの引き戸を開けて中に身を滑らせた。

薄暗い押入れの中は、畳んだ布団の匂いと、防虫剤の香りで満ちていた。扉の隙間から差し込む細い光だけが頼りだった。かくれんぼのことなど忘れ、ただ雨が止むのを待っていた。雨粒が窓を叩く音がリズムを刻むたびに、押入れの中の闇が少しずつ濃くなる気がした。

外から母の声が聞こえた。「○○ちゃん、どこにいるの?」庭の方からだった。

その時、気づいた。押入れの中は、私一人ではなかった。

かすかに、呼吸が聞こえた。自分のものではない。もっとゆっくりとした、深い呼吸が、すぐ隣から。それから間もなく、暖かいものが私の肩にそっと触れた。

声が出なかった。体が石になったように動かなかった。どれだけの時間が経ったのか、まったく分からない。気づいた時には押入れの外に立っていて、母が濡れた庭から走ってくるところだった。「どこにいたの、心配したじゃない」と母は言った。それ以上のことは何も覚えていない。

片付けをしながら、ふとそんなことを思い出した。あの頃の怖がりだった自分が、暗い押入れの中で想像した何かだろうと、そう思って手を動かしていた。大人になるとは、子供の頃の恐怖を合理化することだと、どこかで思っていた。

押入れの奥に、古いアルバムが重ねて置いてあるのを見つけた。一番上の一冊を引き出してめくった。数ページ目に、庭で撮った写真があった。私と母が並んで立っている。私はランニングシャツを着て、裸足だった。

裏に母の字で日付と私の名前が書いてあった。日付を確認した瞬間、膝から力が抜けた。

その日付は、あの雨の日と一致していた。かくれんぼをして、押入れに隠れて、何かに触れられた、あの日と。

写真の中の私は、庭で陽射しの中に立っていた。晴れた空の下で、笑顔で。私はその日、外にいた。

押入れの中で息をしながら私の肩に触れていたのは、では誰だったのか。

写真をじっと見た。背景に写る寝室の窓。夏の光の反射で少し白く滲んでいるその窓の向こうに、何かが映り込んでいた。小さな人の形をした何かが、こちらに向かって立っていた。窓の中の影は、私とほぼ同じ背丈だった。

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